IT導入において、「提案を受けたが見積金額が妥当かどうか分からない」というのはよく聞く話です。
妥当かどうかわからないが相見積もりを取り、極端に差異がなければ「まずまず妥当なところだろう」と判断しているケースが多いようです。
では、相見積もりというのは見積金額を評価するために有効な手段なのでしょうか?
見積が有効なケースとは
機械や道具などの設備購入であれば、購入する明細がはっきりしているので、相見積もりというのは有効な手段です。
この点から考えると、パソコンやパッケージソフトなどの最初から価格が決まっているものを購入する場合において相見積もりは有効と言えます。
しかし、自社独自のソフトウェアの開発を依頼する場合は話が違ってきます。
ソフトウェアの開発を依頼する場合は依頼する企業がソフトウェアの仕様を提示しますが、この仕様の解釈によって開発する内容が異なり、それが開発費用を左右する要因になってくるからです。
このため、見積金額が高いといっても、高くなった原因が「仕様を過大に読み取った場合」、「過去の経験から要求された仕様にはリスクが存在することを認識している場合」等もあり、見積金額が高すぎてもそれが不適切ではないこともあります。
適正な価格を引き出すためには
相見積もりによってITベンダーを評価するには、どのITベンダーが読んでも同じように解釈できる仕様書を作成することが求められます。
しかし、ITベンダーの中には専門的な知識を持ち、提案を求めたこと以上のシステムを構築できるベンダーも存在します。このようなケースでは、誤解のない仕様書を提示するよりも、各ITベンダーのノウハウを引き出すような、ある程度幅を持たせた仕様書を提示した方が効果的と言えます。
このような場合は提案金額が高いかどうかよりも、費用他効果が優れているかが評価のポイントになります。
提案を依頼する企業としては、どちらのパターンで提案を依頼するのか方針をはっきりさせたうえで、仕様書や提案依頼書を提示することが求められます。