失敗事例にみるRFP作成のポイント~1.必要性の確認

情報システムの導入やシステム開発を行うにあたり、発注先のベンダー企業に対してユーザ企業から提案を依頼する文書がRFP(Request For Proposal:提案依頼書)と言われています。この文書の必要性が訴えられ徐々に浸透してきてはいるものの、実効性のあるRFPを作成するのは難しいようです。

なぜRFPが必要か

RFPとはユーザ企業からベンダー企業に対して提案を依頼するもので、そこにはシステムに求める機能や契約の条件などを記載します。

「システム構築や業務委託の場合は、どのような場合でもRFPは必要である」という意見もある一方、「専門的なことは分からないので、細かいことはベンダーを選定してから決めてもよいだろう」という意見を聞くこともあります。

まさにその通りで、私は後者の意見に賛成です。

決めなくてよいこと、後から何とでも出来ることであれば、無理にRFPに仕立て上げる必要はないのです。提案を受ける前、または、契約を締結する前に決めなければリスクが大きくなる事項や、後から変更できない事項が想定させる場合にRFPを作成すればよいのです。

RFPを必ず作成するという企業の場合、RFPのテンプレートが用意され、それをすべて満たしていなければベンダー企業に対してRFPを発行することができないルールになっている事例も見受けられます。

このため、決めなくてもよいことを無理にRFP作成段階で規定してしまったために「使わなくてもよい機能」を実装したり、「名目上は整っているが、実態として使えない機能」になっているケースも散見されます。

RFP作成の必要性を再考する

システム開発の工程では「要件定義」で業務要件・システム要件を確定します。このような工程がありながら、なぜ、RFPを作成しなければならないのでしょうか。

初めてRFPを作成する場合はそこまで考えて作られているはずなのですが、RFP発行を繰り返しているうちに「RFPを作成する」という作業自体がルーチンワークになってしまい、そのに記載する項目も助長なものが混在してくることがあります。

提案を依頼するシステムの特性によって、提案依頼する内容も項目も変わってきて当然なのですが、しっかりした企業ほどこのような状態に陥ることがあるように思います。

RFPを作成する前に、「なぜ、作成するのか」、「どのような効果を求めるのか」という事を再考することが大切です。