失敗事例にみるRFP作成のポイント~3.安易に実績に頼らない

RFPを作成する場面、またはRFPに基づいて作成された提案書に対して、「過去の実績」を求めたり、それを評価項目に挙げることが多々見られます。確かに、実績が全くないベンダーに依頼するよりも同様の経験を持っているベンダーの方が安心できます。また、過去に稼働実績のある製品であれば、更に安心というのは間違いありません。

実績を評価するのは賛成なのですが、漠然と「どこかで導入した実績」だけを評価し、「実績があるから大丈夫」と判断するのはやや危険かと思います。というのも、過去の実績が活きるのは、これからシステムを導入する場面において発生しうる課題・問題点を、過去のシステム導入においても経験した場合だけだからです。

たとえば、性能面で厳しい要求が求められるシステムであるとか、処理プロセスに業界特有の特徴があるなどのケースが考えられます。そのような経験を過去に体験したベンダーであるかどうかは導入製品を選定するにあたって重要な要因と言えます。となると、ここで重要なのは発注する側が、これから構築するシステムの『どの部分がクリティカルな部分なのか』を正しく把握していることです。ここを把握することで、過去の実績があったとしても評価に値する実績なのか、評価に値しない実績なのかが分かります。