経営層はなぜ必要か?
ITを有効活用するためには、「経営者の理解が重要」とはよく言われている話です。必要な機器を購入したり、適切な人材をアサインしたりという判断をする際に現場レベルでは判断できず、ここで経営層の判断が必要になるというのが一つの理由です。
確かにこれは大事なポイントですが、それ以上に重要になるのが「IT活用の方向性を定める」という役割です。
「パソコンを使って手書き文書を電子化したい」というような作業レベルの改善を目指すようなケースであれば、あえて経営層が関与しなくても支障はないでしょう。どのような企業でもIT活用はこのような基本的なところから始まりますが、IT活用が進んでくると担当者の方からも「作業レベルの改善だけでなく、ITを使って事業レベル・経営レベルの改善ができないか」という話が出てきます。
これが「IT活用におけるリテラシーが高くなってきた」といわれる状態ですが、表面的には「IT活用」を目標にしながらも、少しずつその主眼が「作業改善」から「経営改善」に変わってゆきます。
経営層が入らないとここに問題が出てくる!
担当者レベルでも、「どうすればITを経営改善につなげるか」を考えることは可能です。しかし、残念ながら、ここで考えたことが経営層が意識していることと完全に一致しないケースも出てくるのです。
例えば、「これまで手作業で行ってきた販売業務を電子化したい」という要望がある場面では、POSレジ等で売上管理に力を入れることもあれば、在庫管理システムなどで入出庫に力を入れるということもあります。
どちらの手法も有効な手段ですが、どちらを優先すべきかは事業の特性や取扱う商品の内容によっても違ってきます。
何をすれば経営上の効果が大きいのか、優先度が高いのかを判断するには、担当者だけでなく経営層の関与が必要です。
経営層はいつ関与すればよいか?
このようなお話をすると、「IT投資の案が出来上がったところで経営層に判断を求めればよい」という意見が出ることもあります。
これも一つの方法ではなりますが、経営層に提示された代替え案の中に最優先課題を解決するアイデアが含まれていないということもあります。このようなことを防止するためには、初期の検討段階で経営層が参画し、IT導入の目的や方向性を示した方が効率的に検討を進めることが可能になります。