ビジネスモデルの検討時に発生しやすい問題
「ITは経営に不可欠」と言われ、新しいビジネスを構築する場合や、既存のビジネスモデルを刷新する場合にITは重要な役割を果たします。
しかし、ITはビジネスを支える道具に過ぎません。
「どのようにITを活用するかはビジネスモデルに依存する」という考え方に従って、『ビジネスモデルを決定し、その後にITの活用方法を検討する』と主張される方もいます。
しかし、ITを活用したから実現できることもあるので、このように検討を進めた場合は作業効率化程度にしかITを活用できなかったり、ITを活用すればもっと簡単に効率的なビジネスが構築できたのにと悔やまれることが多いようです。
では、前述のパターンとは逆に、『IT活用と一緒にビジネスモデルも検討する』と、どうでしょう。
この場合はIT活用を前提に検討を進めるため、「ITを活用しきれない」という問題が出ることは少ないようですが、新しいビジネスモデルを動かすという目的を見失って、システムを稼働させることが主目的になってしまうことがあるようです。
こちらの場合は前記のパターン以上に問題が深刻で、新しいシステムは動き出したが経営に役立っているとは感じられないことや、システム導入以前の方が良かったという声が聴かれることもあります。
前者はITに詳しくない方がビジネスモデルを検討する時、後者はITベンダーの提案に従ってビジネスモデルやシステムの構築を行う時に陥りやすい問題です。
IT活用はどの段階で検討するか
ビジネスモデルの構築とIT活用は密接な関係にあり、やはり、ビジネスモデルを検討する初期段階からIT活用を視野に入れることが欠かせません。
ただし、この段階で留意すべき事項としては、事業上の目的を見失わないことや、戦略レベルでIT活用を検討することが挙げられます。IT活用となるとつい枝葉の話に行きそうになりますが、あくまでも戦略レベルで検討を進めることが重要です。
また、この段階で見落としがちな事項として、現場の運用があります。
運用というとシステムをどのように使うかという枝葉の話のように思われる方もいますが、どのように運用するかは経営資源の活用にも関連する重要な事項になります。