ワタミが休業中の人材の有効活用策として、小売業への出向に取り組んでいる。
ワタミが食品スーパー「ロピア」に従業員を出向、「業界の垣根を越えた人事連携で雇用を確保」|食品産業新聞社ニュースWEB
出向というと一般的には長期間になるが、他の記事を調べてみると1か月単位に更新のようである。
接客という点で共通することも多く、雇用の維持というだけでなく能力開発の面でも効果が期待できそうだ。
コロナ対策では転籍出向ではなく在籍出向という形になると思うが、出向を活用することは効果的な手法といえるが、関連法規を守らなければ偽装出向という扱いになりかねないので注意が必要である。
上記のサイトに出向の基本的な考え方や判例を含めた情報が掲載されている。
(52)【異動】出向、復帰|雇用関係紛争判例集|労働政策研究・研修機構(JILPT)
「出向」を活用する際の注意点
法令順守
出向命令の根拠として就業規則、労働協約、労働契約などに必要事項が明記されてい無ければならない。また、これらの規定に関しても出向労働者の利益に配慮することが必要である。
給与や諸手当
出向元が支払ケースと出向先が支払うケースがあるが、差額の支払いに関する取り決めも必要になる。
安衛法や労災保険上の責任
労基法の規定に関しては該当する事項を管理している使用者が管理することになるが、労働保険や社会保険んは労務の給付を受けている出向側が負担することが原則となる。
偽装出向にならないために
出向と類似している形態として労働者派遣、労働者供給事業がある。
「短期間だから」「細かい手続きが面倒だから」ということで然るべき対応を取らないと前記事業と同等のものとみなされ、偽装出向という扱いになってしまうので注意が必要である。