バズることだけがSNSの目的になっていないか

拡散を狙うマーケティング手法の違い

SNSを活用したマーケティングに取り組む事業者が増えていますが、「バイラルマーケティング」と「バズマーケティング」という言葉はどこかで目にしたことがあるのではないかと思います。
どちらも情報を拡散させて認知を広げることを狙う手法ですが、その目的やアプローチは大きく異なります。
バイラルマーケティングは、商品やサービスに関する感動や共感、または有益な情報を通じて自然な形で情報が広まっていくことを狙う手法です。「誰かに伝えたくなる」という心理を刺激し、長期的にブランドの認知やファンを育てることに適しています。
これに対し、バズマーケティングは一時的に話題を作り、大量の人々の注目を集めることを目的としています。インパクトのある表現を使って短期間で情報を拡散することに重点を置いています。

現場でよく見かける目的と手法の不一致

SNS活用で成果が出ないというご相談を受けることは多いのですが、目的と手法が一致しないことが成果が出ない大きな要因になっていることがあります。
具体的には、ある経営者が「良い商品だが、その効果が知られていない。時間をかけてじっくりと評判を広げたい。」と考えているにもかかわらず、実際に投稿している内容が商品の割引情報や社内の面白エピソードなど、いわゆる「バズりたい」という話題だけに投稿が偏っているケースがあります。

確かに、SNS活用となると「バズる」というキーワードが脚光を浴びますが、瞬間的に注目を浴びることだけがSNS活用の成果ではありません。

自社の商品・サービスにあった活用方法を

バイラルマーケティング、バズマーケティングというようなマーケティング用語を覚える必要はありません。
ただし、SNS活用にはいくつかの手法があり、どのような目的で使うべき手法なのか、どういった特性があるのかという点を理解しておくことは、SNSを効果的に活用するうえで非常に重要です。
たとえば、商品にこだわりや物語性がある場合は、バイラルマーケティングが効果的です。お客様が感情的に共感できるストーリーは、時間をかけて自然に広がっていく可能性が高いからです。一方で、季節限定の商品やキャンペーンなど、スピード重視の販促にはバズマーケティングが適しています。

SNSへの投稿はあくまでも手段であり目的ではありません。最終目標は「来店客数の増加」「売上拡大」等で、それを促す手段のひとつにSNSがあるにすぎません。
大切なのは自社のビジネスにおいて「誰に、何を、どう届けたいのか」を明確にしたうえで、その目的に適した手法を選ぶ点にあります。