2019年のIT導入補助金の動向予測(2018年12月22日)

 2018年のIT導入補助金は非常に低調で、「2019年以降はどうなるか分からない」という状態でしたが、ここにきて2019年度の状況が見え始めました。
 昨日の閣議で決定した事項をベースに予想を立ててみましたが、閣議決定した事項が正式に決まるのは年明けの国会なので、あくまでも「予測」です。

1.IT導入補助金の動向
 31年度の年度予算には含まれていませんでしたが、30年度補正予算でIT導入補助金の予算が計上されました。

経済産業省関係平成30年度当初予算及び平成29年度補正予算のポイント

 予算規模は「ものづくり補助金・小企業事業者持続化補助金・IT導入補助金」の合計で1100億円としか分かっておらず、どのような配分がなされるのかは不明です。
 今年度(平成29年度補正予算)はIT導入補助金が500億、ものづくり補助金が1000億、小規模事業者持続化補助金が120億の予算でした。 来年度(平成31年度)は当初予算でものづくり補助金100億、持続化補助金10億が計上されていましたが、ここに今回の補正予算が加わることになります(豪雨対策枠として計上された予算は含まず)。

平成29年度補正平成30年度補正平成31年度本予算
ものづくり補助金1000億合算で1100億100億
小規模事業者持続化補助金 120億同上10億
IT導入補助金500億同上

 ここからは予想ですが、人気の高い「ものづくり補助金」や「持続化補助金」はほぼ昨年同等の割り当てで、残りがIT導入補助金になるという感じになるのではないかと思います。

 IT導入補助金の予予算額が大幅に減少するように見えますが、予算執行状況から見て妥当なところかと思います。このように合算したことで今年のように「IT導入補助金の予算が数百億余る」という事象はなくなりますが、そうなると再来年以降もこのような形でIT導入補助金が残る可能性も出てきたとも感じています(希望的観測です)。

2.補助額・補助率
 IT導入補助金の補助上限はこれまでの50万円から450万円に大幅増額されています。 補助率は1/2のままです。
 今年のIT補助金に対しては「金額が少なすぎて使えない」という意見が多かったのを反映したものかと思います。

 ここから予想ですが、補助額が大幅に増額されたことで、それなりの案件も対象になります。
 予算増額はITベンダーにとっても追い風と言えますが、この額になるとERPや製造系パッケージなど、これまでは「IT導入補助金では割に合わない」というシステムも対象になり始め、競合は一気に増えると思います。
 また、この規模になると申請書も厳密化されることが予想されます。特に今回は「ものづくり補助金」と「持続化補助金」と同じ枠になっているので、申請書の難易度の両者の中間位と考えるのが妥当かと思います。
 今年の申請書はザルに近い...というかザルそのものでしたが、今後は様式の複雑化や記述内容の妥当性も要求される可能性が高く、昨年のように「ツール登録すらできない、登録できても申請段階で却下」という案件が増えるかもしれません。

3.募集時期
 正式には何も決まっていないので、完全に私の予想です。
 補正予算が1月の国会で成立すると仮定すると、3月末~5月あたりが申請時期になるのではないかと思います。 IT導入補助金は「採択後、3か月程度で稼働」という案件が対象になると思うので、従来通りに複数回応募になるのではないかと思います。この複数回応募や、「ものづくり補助金」「持続化補助金」の追加募集で綺麗に予算消化できる状態になると思います。

4.ベンダーの対応について
 「ものづくり補助金」「持続化補助金」共に、事業計画づくりに複数回の支援で申請書を作ることが多く、IT導入補助金も同等の難易度になる可能性があります。
 昨年は「募集が始めってからユーザさんにアプローチ」というスタンスでも間に合いましたが、申請が厳しくなることを考慮すると「早めにユーザさんにアプローチし、しっかりと計画を練り上げる」ことが良いかと思います。