書店のIT関連コーナーを見ると上流工程に関する書籍が増えてきた。特に「要件定義」と名のつくもの増加が目立っている。
情報システムの開発において予算以上にコストを要したり、予定スケジュール以上に期間を要することがあるが、この原因を見ると「要件定義」に端を発するものが多い。
このため要件定義に関する書籍が増えているというのは好ましいことである。
が、いくつかの書籍を見ると要件定義とインタビューを混同しているのではないかというものが見受けられる。
要件定義からシステム開発まで特定のプロジェクトを一貫して体験した方は分かると思うが、「顧客が欲しいといったもの」と「そのシステムに必要とすべきもの」が一致していることは非常に稀である。
これは要求を出す顧客側に問題があるわけではない。
顧客は要求を出す時点で気付いたことを主張するのであって、その要求の中から「本当に必要なもの」を汲み取るのが要求定義という作業である。
ここではヒアリング能力だけでなく、顧客が要求する機能に限らず幅広いITの知識、それを活用する業務に関する知識なども必要である。
「これが欲しい」という言葉を引き出すのが要件定義ではなく、「なるほど、こういうシステムを作るんですね」という合意事項を作成するのが要件定義である。
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