中小企業IT経営力大賞2013の審査結果が公表されました。
全国中小企業取引振興協会の優秀企業賞を受賞していた十一屋ボルトさんですが、こちらでも「IT経営実践認定企業」として認定されました。
今回の取り組みについては、全国中小企業取引振興協会のサイトに詳しい取り組み事例(多頻度・少量納品の見積・受注・検収管理システムの開発)が掲載されています。
今回の取り組みでは「低価格の商材を大量に扱う」、「取引先とのデータ交換形式が変更になることがある」という背景のもと、柔軟性のあるシステムを、あまり費用をかけずに構築しなければならないという課題がありました。情報化の内容はレポートにも書かれていますが、ここでは前述の課題に対してどのように対応したかを語彙紹介します。
1.経営者自身の積極的な取り組み
今回のシステム構築に関しては、初期段階から経営者さんが積極的に関与しています。
経営上の課題抽出・問題点の絞り込みなどを行う経営者さんは多いかと思いますが、今回はシステム化の上流工程でも社長さんが積極的に関与しております。「低価格で、柔軟性を持たせる」ことを実現するためには、開発工程の手戻りの発生を抑えることや、将来の拡張性をどこまで盛り込むかが大きなポイントになります。
同社の場合は、設計工程でも経営者が積極的に関与し、業務ロジックの見直しから画面設計・帳票設計まで設計者と経営者が議論を交わしながら作業を進めることができました。これにより、経営者との打ち合わせが終わると大まかな外部設計まで完了しているという状態を作ることができました。
2.AccessとExcel、手作業の使い分け
小規模システムではExcelやAccessを使うことも多いかと思いますが、当システムにおいても大量データを加工・累積する処理はAccess、頻繁に変更になるデータの加工や簡易的な計算はExcelという風に使い分けを行いました。更に、変動要素の多い部分、費用対効果が薄い部分に関しては「手作業も止む無し」と割りきった運用設計を行っています。
このような設計工程においても経営者が積極的に参画し、納得した上での作業なので工程が手戻りしたり、何も決まらないまま時間だけが過ぎてゆくということはありませんでした。
このような方針で作成してシステムなので、非常に大きな効果を発揮したものの、その開発規模は驚くほど小さいものになっています。費用対効果の観点から投資規模に限りがある、変化の激しい環境に合わせて柔軟性を持たせたい、等のニーズはよく耳にしますが、当システムはそのようなケースにおいて非常に参考になる事例かと思います。