先日の講義の中で「セキュリティ向上のためにシンクライアントが使われる事も...」という話をした。その後、グループ演習中の下書きを覗いたところ、「新クライアント」...確かに発音はそのとおりですが、まだまだ「シンクライアント」という言葉自体、マイナーなんですね。
TCO削減の救世主として宣伝されていたのがシンクライアントですが、最近はセキュリティ対策の救世主的な扱いをされることもあります。
シンクライアントといってもメーカ毎に仕様が異なっていますが、ローカル資源を持たないという点では共通しており、FPDやUSBメモリによる情報漏えい、ハードディスクの盗難に強いというのは確かです。
しかし、そのようなメリットを持つ反面、シンクライアント上で動作するアプリケーションは「ローカル資源を持たないことを前提にしたもの」という制限があります。シンクライアント上であっても問題なく動作するアプリケーションもあれば、大掛かりな改造を行わなければ動作できないアプリケーションも存在します。
更に留意しなければならないのは、この制限は現在導入済みのアプリケーションだけでなく、将来追加導入するアプリケーションに対しても発生するという点です。
つまり、導入時点では「通常のパソコンと同様に使用できる」状態であっても、将来、新たなソフトウェアをインストールしようとした場合、「パソコンにはインストールできるのにシンクライアントにはインストールできない」という問題が発生する可能性があります。
このように、シンクライアントは運用コストの削減やセキュリティ対策が向上する反面、使い勝手や汎用性という観点では普通のパソコンの方が優れているというのが現状です。つまり、TCO(Total Cost of Ownership)ではシンクライアント、TVO(Total Value of Ownership)ではパソコンの方に分があるといってよいでしょう。
また、価格の面でも普通のパソコンに分があります。パソコンにセキュリティ対策ソフトを組み合わせた方が、安く・汎用的で、セキュリティ的にも見劣りしないという構成も可能なことから、「安全面、費用対効果を考えるとシン・クライアントではなく、パソコンを導入します。」という事例も多いですね。
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